飛行機の見える窓から

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螺旋プロジェクト「シーソーモンスター 伊坂幸太郎」を読んで(後編)

 

前編では、螺旋プロジェクトという企画の面白みを興奮気味にお伝えしたが、後編では「シーソーモンスター」という作品自体に触れていく。

 

 

時代は昭和後期、まさにバブル期イケイケドンドンの時代。

製薬会社の営業マン 直人は、居酒屋の片隅で先輩営業マンの綿貫に、嫁と姑についての愚痴を聞いてもらっていた。

尊敬する先輩の綿貫が、直人の浮かない顔を気にかけて飲みに行こうと誘ってくれる上、嫁姑の板挟みとなり疲弊する直人の愚痴を親身になって聞いてくれるものだから、直人としては感涙の涙を流すほどだった。

世の中には本当の母子のような仲の良い嫁姑もいるだろうが、嫁姑と聞いて、やはり最初に思い浮かべるのは「水」と「油」。「猿」と「犬」。

太古の昔から、「犬猿の仲」または「ゴジラvs.キングギドラ」がお決まりである。

蒼い瞳の妻 宮子と大きく尖った耳の母セツも類に漏れず、直人の悩みは尽きないのだった。

 

宮子との出会いは遡ること7年前、直人が偶然飛び乗った新幹線で、隣りの座席に座っていたのが宮子だった。

実のところ、直人は車両を間違えてその席にいたのだが、結果的には、絡んできた酔っ払いから宮子を守り、この微笑ましく温かい出会いが、二人が人生を共に歩んでいくキッカケとなったのだから、まさに運命の出会いと言えよう。

少し変わった事と言えば、宮子の職業が情報員 いわゆる国家機関所属のスパイであるということ、それは伴侶となる直人にも極秘事項であるということ、ただそれだけだった。

 

その後二人の交際は順調に進み、やがて宮子は組織を引退して、北山家の嫁となる。

しかし、ふとした会話を皮切りに次々と浮かび上がる疑惑とトラブルの連続…!

元スパイの超ハードボイルドな嫁姑問題に、直人は太刀打ち出来るのか?!

 

………

 

お気に入りの本を、多くの方に読んでみたい!と興味を持っていただきたくて、ブログでご紹介していますが、今回の内容は、特に男性陣がどっと疲れていないか心配です。笑

 

作家それぞれが独自の「海の者」と「山の者」の対立を描く「螺旋プロジェクト」

確かに共通項はあるものの、完全なる別世界。とても不思議な感覚です。

実はまだ全ての作品は読めていないのですが、また他の作品もご紹介出来ればと思います。

 

別の作品といえば、本作「シーソーモンスター」には、なんと近未来の海族と山族の対立を描いた「スピンモンスター」も収録されています!

まさに一冊で2度美味しい。笑

スピンモンスターについても、別の機会にご紹介出来ればと思っていますので、またお付き合いいただければ嬉しいです♪

 

参考文献 「シーソーモンスター」 伊坂幸太郎 中央公論新社