螺旋プロジェクト「シーソーモンスター 伊坂幸太郎」を読んで(前編)
〈螺旋プロジェクト〉とは
「共通のルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」
伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家=朝井リョウ、天野純希、乾ルカ、大森兄弟、澤田瞳子、薬丸岳、吉田篤弘による競作企画。本作はこの企画から生まれた。
ルール1 「海族」vs.「山族」の対立を描く
ルール2 共通のキャラクターを登場させる
ルール3 共通シーンや象徴モチーフを出す
ーシーソーモンスター 伊坂幸太郎より引用ー
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以前、別のブログでも書いたのだが、私はこの春まで完全なAmazonオーディブル派になっており、長い間、書店から足が遠のいていた。
転職して100%デスクワークの生活になった事を機に(ランチの時間帯でも電話番などの都合でイヤフォンの使用が望ましくないため)
久しぶりに本屋でも覗いてみよっかなー♪と、買い物ついでにショッピングモール内の書店をぶらぶらと訪れ、ランキングの棚などを物色。最終的には大好きな伊坂幸太郎さんの作品の並ぶ棚の前に。
大好きとか言いつつ、何だか知らないのが何冊も増えてるぞーっ。汗
なんとなーく作品名に惹かれて手に取ったのが、本作 「シーソーモンスター」だった。
パラパラっと開いてみると、パラっくらいの表紙1ページ目に冒頭の説明が…!
なにこれっ!めっちゃ面白そうじゃん!
そして、最後の最後、最終ページには、
真っ黒なページに白の文字で、
特報 螺旋プロジェクト 第2弾 始動
参加作家
凪良ゆう
町田そのこ ほか
って書いてある!
なになになに?この本は第1弾?っでいいんだよね?!
すごい面白そうってことだけは分かったけど…!とりあえずこれ買って、後で調べてみよっ!
という流れが、この作品との出会いについてのすべてである。
もう少し螺旋プロジェクトについて説明させていただくと、本作品の「シーソーモンスター」は螺旋プロジェクト第1弾の作品であり、
「ルール1」の「『海族』と『山族』の対立を描く」については、海族の特徴は、青い瞳を持ち、水に強いこと、山族の特徴は耳が大きく、野山に強いこと。
両者は本能的にお互いを嫌悪しており、近付けばその受け付け難い気配だけでお互いの存在を察知出来るほど。
この企画は、前述の通り、原始時代から未来までの各時代をそれぞれの作家が担当して、ルールに従って執筆しており、参加作品は下記の通り。
原始 「ウナノハテノガタ 大森兄弟」
古代 「月人壮士 澤田瞳子」
明治 「蒼色の大地」
昭和前期 「コイコワレ 乾ルカ」
昭和後期 「シーソーモンスター 伊坂幸太郎」
平成 「死にがいを求めて生きているの 朝井リョウ」
近未来 「スピンモンスター 伊坂幸太郎」
未来 「天使も怪物も眠る夜 吉田篤弘」
読む順番については、これも個人的な意見だが、共通ルールはあるものの、それぞれ一冊が物語として完全に独立しているので、実際どこから読んでも楽しめると思う。
自分の好きな作家の作品から読むでもよいし、
それぞれの時代を跨いで、共通のアイテムが登場するので、ヒントの書かれた年表を参考にするのも良さそうだ。
年表は、本作「シーソーモンスター」にも綴られている。
シーソーモンスターの感想を書く前に、この面白企画についてお伝えしたくて、ついつい長くなってしまった。
後半は、いよいよ本の内容についてお話しさせていただければと思う。
(後編)に続く。