飛行機の見える窓から

空港に程近い郊外の街から、日々の暮らしでオススメしたいモノ コトについて発信しています。

「地面師たち 新庄耕」を読んで

「地面師」と聞いて、2017年に発生した「積水ハウス地面師詐欺事件」を思い浮かべる人も多いだろう。

 

地面師とは、土地の所有者になりすまし、他人の土地を売買して、金銭をだまし取る詐欺師のこと。

ニュース番組から流れる情報に、こんな映画のようなことが起こり得るのかと感じたものだったが、本作品は実際におきたこの事件を軸として構成されており、地面師たちの手法を間近に垣間見ることが出来る。

あまりのリンクするシーンの多さに、「あれ?ノンフィクションだっけ?」と思ってしまうほど忠実に再現されているが、

主人公 拓海を筆頭に登場人物たちが繰り広げる詐欺の手口は、華麗とも呼べる鮮やかさで、文章全体から受ける印象は非常に物語的である。

 

登場人物の一人で、過去にこの事件の首謀者でもある大物詐欺師ハリソン山中を、一度は捕らえたものの、嫌疑不十分で不起訴処分となり釈放せざるを得なかったという苦い経験を持つ、定年を間近に控えた刑事 辰の存在もドラマ性に色を添えている。

 

拓海の抱えた悲しい過去や、それにまつわる父の思い。

まるで心を失ったかのような拓海に、新たな友人と呼べる存在が現れる時。

実際の事件をモチーフに、見事にドラマティカルなストーリーが融合されており、ダイナミックな印象となった本作品は、まるでハリウッドのスパイ映画を見ているかのような興奮を与えてくれる。

アンダーグラウンドな世界で繰り広げられる、唯一無二な地面師ストーリー。ぜひ読んでもらいたいオススメの一冊だ。

 

 

「グラスホッパー 伊坂幸太郎」を読んで

 

読書感想文 第二弾。

 

いや、どれだけ殺し屋登場するんだ?!汗

超スタイリッシュで超クールな殺し屋ストーリー!

 

1.??? タイミングよく身体を押されたターゲットは事故に巻き込まれる。「押し屋」と呼ばれる幻の殺し屋。

2.鯨   自殺屋と呼ばれ、独特の空気感で自殺に導く。

3.蝉   しなやかでスピーディーな身のこなしで刃物を操る殺しの鬼才。

4.??? シークレット

元中学校教師の鈴木は、明るく何事にも前向きな妻と平穏で幸せな生活を送っていたが、ある日、物騒な組織のボス 寺原の長男(バカムスコ)の起こした事故に巻き込まれ、愛する妻を亡くしてしまう。

その一方で、権力を笠にきて罰則も反省もなく、暴虐の限りを尽くすバカムスコ。

鈴木は復讐のため、寺原の物騒な組織の運営する会社フロイラインに就職し、バカムスコに近づく機会を探っていた。

忠実に仕事をこなしていた鈴木だが、日頃からのバカムスコの行いに腹をたて、復讐しようとするものは珍しくなく、鈴木も彼らと同様だと疑われていた事を知る。

絶対絶命のピンチの中、初めてバカムスコに相対し復讐出来るチャンスを得た鈴木だったが、目前で「押し屋」により永遠にその機会を失うこととなる。

鈴木は組織の指示を受け、「押し屋」の後を追うことになるのだが…。

 

それぞれの描写が、熱くもなく冷たくもなく極めてフラットに殺し屋たちの感情を描く。

非現実的でリアルで不思議な世界観。

スピード感溢れるストーリー展開に読み進めずにはいられなくなるはずだ。

 

「終末のフール 伊坂幸太郎」を読んで。

 

ブログという未知の世界に一歩足を踏み入れた私を、伊坂作品がシュールに導いてくれたらいいなという願いを込めて、第一弾は面白かった作品を紹介します。

読んでくれたみなさんが手に取ってみたいと感じるようなご紹介が出来たらいいと思っています。

 

最近、環境の変化がありまして、すっかりAmazonオーディブル派になっていた私でしたが、また紙の本の魅力に取り憑かれています。

 

環境の変化とは職場が変わったことで、

お昼休みも自分のデスクで過ごすようになりました。

お昼休みと言えど、電話が鳴ったり、来客がきたり。

イヤフォンで耳を塞ぐことで不都合が生じるようになったので、紙の本に戻ったのですが、半分まで読んだなとか、指先で感じながら読み進めるのはなかなかよいものです。

 

とはいえ、Amazonオーディブルの使い心地は素晴らしく、いまもどっぷりお世話になっています。

これについては、また別の記事でご紹介させていただきますね!

 

 

さて、伊坂幸太郎さんの「終末のフール」ですね。

あくまでも個人の感想になりますので、所々ご容赦いただく部分があるかも知れません。

 

題名の通り、終末の世界を描いた“それぞれの繋がりのある”短編集と言った作品です。

 

8年後に小惑星が地球に衝突して、この世界は滅亡する。と言われたらみなさんはどうしますか?

 

家族のため、自分のために、働いてお金を稼いでいるのはなんのためでしょうか。

今月の食費のためでもあるでしょうが、

 

子どもを大学に行かせるため?

老後の資金?

起業するため?

夢を叶えるため?

 

…それらはすべて、未来が続いていく前提。

 

その前提が突然取っ払われてしまったら。

 

多くの人々は自暴自棄となり、自分勝手に暴れ、世界中がパニック状態となるでしょう。

それも落ち着いた、終末の発表から5年後。

 

つまり、あと3年で世界が消滅すると知りながら毎日を過ごす物語です。

 

あなたなら、誰と、どんな風に過ごしますか?

 

私なら家族みんなで一緒に、その日まで変わらぬ生活を。

普段照れくさくて口にしない感謝の言葉は、後悔のないようにちゃんと伝えておきたいなと思います。

 

物語の登場人物にも、それぞれの世界があり、幸せの形もそれぞれです。

 

いつも同じ車両に乗る人。よくコンビニにくるお客さん。街ですれ違う人。

 

みんなそれぞれの人生があります。

 

伊坂幸太郎さんは、それぞれの生活に、それぞれの影を、まるで隠れミッキーの如く登場させる天才だと思っています。

伊坂幸太郎流のパラレルワールド

 

明日発表されるかもしれない終末のニュース。

この本がご参考になるかも知れません。